前回のブログでは幹細胞を用いた再生医療についてご紹介しましたが、今回は、幹細胞を用いずに行う再生医療についてご紹介させていただきます。
1.再生医療に関連した治療法
1)自己脂肪由来幹細胞を用いた幹細胞治療
2)間葉系幹細胞産生セクレトーム
- 脂肪幹細胞由来
- 骨髄幹細胞由来
- 臍帯幹細胞由来
- 歯髄幹細胞由来
3)幹細胞SQ-EX(臍帯由来幹細胞粉砕濾液)
4)NK-EXO:NK細胞(免疫細胞)由来セクレトーム
※セクレトームとは、細胞(幹細胞など)が産生し、分泌するタンパク質成分、細胞外小胞(EV)を合わせた成分の呼称で、このセクレトームの投与で、幹細胞を用いる事なく、同様の効果を引き出せる可能性がある治療法として注目されてきている。

DriscollJ &Patel T: J Gastroenterol (2019)
2.間葉系幹細胞セクレトームと幹細胞SQ-EX(幹細胞生搾り)との違い
1)間葉系幹細胞セクレトーム:幹細胞が産生した分泌したタンパク質成分とエクソソームを含んだもので、細胞を培養するための細胞培養液成分や培養時に添加された血清成分などを含んでいる。
2)幹細胞SQ-EX:ヒト幹細胞(臍帯由来)を培養液の中で培養した際に細胞内で産生される遺伝子情報などを含んだ、細胞外小胞(EV)と呼ばれる物質(エクソソーム=Small EVsなど)や成長因子などの蛋白成分が濃縮されたもの

3.エクソソームとは
1)エクソソームとは:細胞から分泌される遺伝子情報などを含んだ、細胞外小胞(EV)と呼ばれる物質の1つ(Small EVs)で、非常に小さな成分(50~100nm)である。


小坂・落谷:エキソソームの形成の過程および医療への応用(2018)より引用
2)エクソソームはtらき:エクソソーム中には、マイクロRNAと呼ばれる遺伝子情報を担う成分やヒートショックプロテイン(HSP)などを含み、細胞の増殖や分化、免疫機能などを調節する働きを持ち、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たしていると考えらている。

小坂・落谷:エキソソームの形成の過程および医療への応用(2018)より引用
3)細胞による産生エクソソームの違い
